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破傷風
原因 :破傷風菌は土壌、動物の口、消化管などに存在しています。
よって、屋外での外傷や動物の咬傷により体内へ破傷風菌が侵入し発症します。
潜伏期間:3日〜3週間
症状 :口の周囲の筋痙縮、開口障害が特徴です。
その後、全身の筋肉にも影響されます。
咽頭の筋痙縮で気道閉塞、胸部筋肉の痙縮による呼吸困難を生じます。
全身の筋痙縮で体全体が反り返る後弓反張の症状も見られます。
対処法:破傷風菌感染が疑われた時には破傷風トキソイド接種による予防的治療を考える必要があります。破傷風トキソイドの定期接種は1968年より導入されていますが、定期接種導入時期以降に生まれた方達の破傷風発症率が低いことから破傷風トキソイドは発症予防の効果が高いと考えられています。
破傷風Q&A
Q. 屋外での外傷や動物の咬傷の時には破傷風トキソイドを必ず接種した方が良いですか?
A. 破傷風トキソイド接種歴と外傷、咬傷の程度で判断されます。
最終ワクチン接種から10年程度は免疫が保たれると言われています。
そのため破傷風トキソイドの最終予防接種が10年以上経過している場合は破傷風トキソイドワクチンの追加接種が必要になります。
また破傷風トキソイドの接種歴のない方の場合は破傷風トキソイドを打っても免疫の獲得に少し時間がかかるため、即効性のあるγグロブリン注射が考慮されます。破傷風トキソイドについて➡
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは、「患者様の多くはアトピー素因を持ち増悪・寛解を繰り返す、かゆみを伴う湿疹」と定義されています。このアトピー素因とは、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎の家族歴・既往歴いずれかを有する。またはIgE抗体を産生し易い素因を指します。症状はかゆみを伴う発疹で、皮膚が乾燥してざらざらすることが多いです。肘や膝の内側のくぼみ、顔、首などによく現れます。病因としてはほこり・カビ・ダニなどのアレルギーによる場合と、アレルギーが認められない場合に分かれます。遺伝子の関わりも研究されています。
院長から推薦のアトピー性皮膚炎サイト➡︎ 九州大学医学部皮膚科学教室ホームページの『アトピー性皮膚炎に関する情報』はアトピー性皮膚炎治療全般について患者の視点で詳しく書かれています。
じんましん(蕁麻疹)
蕁麻疹は痒みを伴う紅斑と腫れが一過性に出没する病気です。通常は24時間以内に消退し、元の皮膚の状態に戻ります。日常に多い蕁麻疹には明らかな誘因なく毎日出没する急性蕁麻疹と発症が1カ月以上続く慢性蕁麻疹があり、また特定の物理的刺激により生じる物理的蕁麻疹も比較的多く見られます。
急性蕁麻疹、慢性蕁麻疹: 明らかな原因がなく毎日のように皮疹の出没を繰り返すもので発症1カ月以内のものを急性蕁麻疹また発症後1カ月以上経過するものを慢性蕁麻疹と呼ばれます。急性蕁麻疹および慢性蕁麻疹だけで全蕁麻疹の60〜80%を占めると言われています。
物理的蕁麻疹: 機械的刺激(擦過)、寒冷、日光、圧迫、お湯、水との接触、振動などの刺激により誘発される蕁麻疹の総称です。
コリン性蕁麻疹: 入浴、運動、精神的緊張などの発汗刺激により誘発される蕁麻疹です。皮疹の大きさは1〜3mm大で30分から2時間以内に消退します。
薬剤性蕁麻疹: 抗生剤、非ステロイド抗炎症薬、造影剤などにより誘発される蕁麻疹です。また、食品中の色素、防腐剤などの摂取により発症する事があります。
ニキビ
毛穴に皮脂や汚れがたまるとアクネ菌という菌が増殖し、皮膚の炎症がおこります。基本的なスキンケアや規則正しい生活で症状を抑えたり、予防したりすることもできますが、化膿したり・膿が出るようになってしまうと、自己流のスキンケアでは対応が難しくなってしまいます。外用薬だけでは改善しないこともありますが、その場合は内服薬・ピーリングも必要な治療となります。
イボ
イボは皮膚から盛り上がる小さなできもので、専門用語で疣贅(ユウゼイ)と呼ばれています。
疣贅はウイルス感染によってできるウイルス性疣贅と加齢、体質、紫外線などの皮膚ダメージ、遺伝的な要素が原因の非ウイルス性疣贅の2つに分けられます。
ウイルスが原因のイボ
- 青年性扁平・・・女性の顔面に多く見られ、米粒大の盛り上がったしこり、線状に見られることがある
- 尋常性疣贅・・・表面がざらざらとした硬くて小さなしこり
- 尖圭コンジローマ・・・性行為によって感染し外陰部、肛門周囲、口腔内にできるイボ
ウイルス以外が原因のイボ
- 老人性疣贅・・・脂漏性角化症とも呼ばれています。 紫外線や老化が原因と考えられています。 中高年の顔、腕、背中などに多く見られる黒褐色のイボです。
- 軟性線維腫・・・首筋に直径1mm前後のイボが多数出来ます。 別名スキンダック、アクロコルドンとも呼ばれています。 原因は加齢、紫外線の影響、摩擦、遺伝的体質などが考えられています。
湿疹
湿疹には様々な種類があり、貨幣状湿疹、主婦(手)湿疹、汗疱性湿疹、乾燥性湿疹などが含まれますが、どれも赤み、かさつき、かゆみを伴い、皮膚がむけたりすることもあります。ステロイド剤や保湿剤の外用薬にて処置をすることがほとんどですが、症状によっては、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服を併用することもあります。
帯状疱疹
帯状疱疹は、水ぼうそうと同じく、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされます。子供の頃に治療した水ぼうそうのウイルスが一旦寛解した後も神経節内に潜伏します。そのウイルスが体の免疫力低下に伴い再活性化し皮膚症状として発症します。
その発症は50歳代から急激に高くなります。患者さんの約7割が50歳以上です。 症状としては、神経線維にそってまず痛みや違和感が見られます。その後、左右どちらかの皮膚に神経線維にそった形で帯状の発疹や水ぶくれが出るのです。発症部位は、胸や背中が多く、ほかに首や顔、腕、太ももなどにも見られます。時に結膜炎や顔面神経麻痺などを合併することがあります。
帯状疱疹Q&A
Q. 帯状疱疹はすごく痛かったので二度と罹りたくありません、ワクチンはないのですか?
A. 2016年より日本では帯状疱疹の予防として50歳以上の方に帯状疱疹ワクチンが推奨されています。
帯状疱疹ワクチンは感染予防以外にも帯状疱疹罹患時の激しい痛みを抑えることが報告されています。
またワクチン接種により帯状疱疹後神経痛発現率は明らかに軽減しています。
Q. 帯状疱疹にならないためには、どうしたら良いですか?
A. 帯状疱疹を抑える上で細胞性免疫を上げるためにワクチン接種をすることが重要です。
さらに加齢と共に免疫が低下するので日々の体調管理を心掛けましょう。 帯状疱疹ワクチンについて➡
男性型脱毛症
男性型脱毛症(AGA:Androgenetic Alopecia)とは、20歳代後半から30歳代にかけて進行性に始まる男性の脱毛症のことです。(日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」)
原因
人の毛髪周期は成長期(2〜6年間)から始まり毛球が退縮する退行期(2週間)そして毛休が退化する休止期(3〜4カ月)で終了します。その脱毛メカニズムは男性ホルモン(テストステロン)から変換されたジヒドロテストステロン(DHT)が毛母細胞の増殖を抑制することで正常な毛髪周期を短縮し脱毛を加速させています。すなわちDHTが多い方に脱毛の進行が見られます。
ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑える食事療法と生活習慣
ストレスの多い生活習慣がホルモンバランスを乱しテストステロンの分泌を増加します。
その結果、ジヒドロテストステロン値の上昇が脱毛を引き起こします。
ホルモンバランスを整える良い生活習慣とは睡眠を取る、適度な運動を行う、飲酒を控えるの3つが推奨されています。またDHTを抑え毛髪周期を延ばし育毛を促す食材には以下が周知されています。
- 亜鉛:亜鉛はジヒドロテストステロンの生成を減らす作用があり毛髪の成長に有効です。
レバー・カキ・牛肉・魚介類・煮干し - 大豆:大豆には女性ホルモンと似た働きをします。
大豆の摂取によりエストロゲンが増えて相対的に男性ホルモンが少なくなり結果的にジヒドロテストステロンの生成が抑えられます。
納豆・豆乳・豆腐 - アロエとミカンの皮:この果皮には5 αリダクターゼを抑制する作用があり、ジヒドロテストステロンの生成を抑えています。
- 生活習慣:ストレスの多い生活がホルモンバランスを乱しテストステロンの分泌を増加させます。
結果的にジヒドロテストステロンの増加を招き脱毛の原因をつくります。
治療薬
食事療法・運動療法・生活習慣の改善によって、脱毛の進行が抑えられない時、男性ホルモンからジヒドロテストステロン(DHT)への変換を抑える5αリダクターゼの阻害薬(フィナステリド/商品名:プロペシア)であるフィナステリド(商品名:プロペシア)がAGAの治療薬として推奨されています。
AGA治療薬は保険適用はなく自費治療になります。 治療薬フィナステリドについて➡
わき汗
明らかな原因がなく日常生活に困る過剰のわき汗を原発性腋窩多汗症と診断します。
その中で生活に支障がでる重症のわき汗に治療が検討されます。
治療薬は作用の異なる2種類の制汗薬があります。
その2種類の制汗薬は汗を出す指令を遮断し発汗を抑制するものと、汗の出る穴をふさぎ汗を抑える薬です。前者は医薬品として日常皮膚科診療の中でよく処方されています。また後者は自費診療の薬として手汗、足汗などで困っている患者さんにも使用されています。
梅毒
梅毒は近年増加傾向にある性病です。2021年以降急増し、2022年の全国年間届出数は13,258例で過去最高件数となっています。また、以前は性風俗産業従事者からの感染がほとんどでしたが、最近では一般男女間の性的接触による感染も増加しています。
感染経路はオーラルセックスを含む性交感染又は在胎中の母子感染により、梅毒トレポネーマという細菌が体内に侵入しゆっくりと増殖します。
感染1年未満の早期梅毒は細菌侵入部位の口腔や陰部周辺の粘膜、皮膚に潰瘍・ビランを形成します。
早期梅毒の時期に放置された場合その後皮膚・心血管・脳神経病変による症状をきたす事があります。
早期診断、早期治療によって感染者を減らす事ができる疾患です。
気になる皮膚粘膜症状がある時には医療機関での血液検査をお勧めします。